モバイルゲームをはじめとし、ライブストリーミング、オートモーティブ、ヘルスケアにスポーツなど、数多くの事業を展開している株式会社ディー・エヌ・エー。それらを支えているのが、200名近く在籍するデザイナーたちだ。各部署を横断し、クリエイティブの力でプロダクトやサービスを盛り立てている。その中でもDeNAの主力事業の一つであるゲーム事業の中のデザイン組織を取りまとめていたのが楠 薫太郎さん。2012年の中途入社以来、著名なゲームタイトルのディレクション、子会社の取締役就任など、要所要所で力を発揮してきた。そのキャリアは一言でいうと「叩き上げ」。新卒というカードを選択することなく登ってきた経歴は、現在フリーランスの人にとってきっと参考になるはずだ。
順調なフリーランス生活も「コンプレックスがあった」
まず、楠さんのキャリアからお聞きしたいんですけど、いつ頃からデザインに携わってきたんですか?
「20歳の大学生のとき、アルバイトではじめたのが最初です。主に紙媒体を取り扱っていて、パチンコなどアミューズメント施設の店頭POPやポスター、折込チラシを作っていました。そこで最低限のIllustratorとかPhotoshopを使えるようになって、また別のWeb制作会社にアルバイトで入社して……その期間に大学を卒業しちゃって、特に就職活動もせずにフリーターになって」
すぐに転職活動はしなかったんですか?
「しばらくは学生時代から働かせてもらっていたweb制作会社にお世話になってました。」
とくに社員採用というこだわりはなく、“手に職を得る”という動き方ですね。
「そうですね。当時は組織の帰属意識もなかったし、瞬間的に『やりたい!』と思うことをやっていました。結局、DeNAに入る前に5〜6社は経験しているんですかね」
DeNAはいつごろ入社したんですか?
「2012年です。ゲームクリエイターとしての採用で、それまでゲームのプロモーション案件は経験したことがあったけど、ゲームそのものの開発は全くの未経験でした。当時は所謂ソーシャルゲームというジャンルの全盛期ということもあって採用も積極的だったので、ぬるりと入社した感はありますね(笑)。入社時のオリエンでは一体何人いるんだ…ってくらいに同期入社のメンバーがいたのをよく覚えています。たぶん、今だったら入れていなかったかも」
なんでまたDeNAに興味を持ったんですか。
「将来性とか、イメージとか、いろいろ理由はあるんですけど、一番は『大きな会社で働いてみたかった』ですかね。それまで、少数精鋭系の組織でしか働いたことがないのが実はコップレックスで…。卒業した大学が4年生の商学部だったので同期は皆、商社とか銀行とか、自分とは全然違う業界で仕事をしてて…たまに集まって飲んだりすると、組織の中の人間関係の悩みやスケールの大きなビジナスの話をしていたりして、その姿が妙に大人に見えたというか、自分には経験できていないことだなと思ったんですよね…」
複数のタイトルを抱えながら会社の立ち上げにも参画
それからはどんなキャリアルートを?
「基本的にはずっとゲーム事業にいます。当時は今と違って、Webブラウザでゲームを作っていて、そのディレクションであったり、新規のタイトルを開発したり。色々な大変なことももちろんあって、連日遅くまで働いていましたけど、みんなでワイワイ“お祭り感”みたいなものがあって、楽しかったですね」
ここに来てからはデザインというよりは、“まとめ役”みたいな立ち位置なんですかね。
「ですね。複数タイトルのディレクションやチームビルディングなんかを掛け持ちしてました。そうこうしているうちに、新たにアプリゲームを立ち上げる話と秋葉原に子会社をつくる話が並行して動いたりして…今思えばありえないくらい忙しかったですね…」
それにしても、楠さんのこれまでの歩みを振り返ると、一つの会社に10年以上いるのが意外な感じもします。
「たしかに(笑)。それまでは長くても2年くらいで辞めていましたしね。怒られるかもしれないですけど、本当はDeNAも最初は2〜3年くらいで辞めようと思っていました。ある程度経験してフリーに戻ろうかなと。そういう心境だったこともあり、経営やマネジメントに携わる今となっては、社内に当時の自分のようなメンタリティのメンバーがいることも何ら不思議はないですし、そういうメンバーに対してもフラットに向き合えているような気がします」
DeNAは“打席に立つ”機会が多い
採用の話になってくるんですが、DeNAではどういった経歴の人が中途入社してくることが多いんですか。
「やっぱり、ゲーム業界の方は多いですね。新規のタイトルを立ち上げたいという野心ある方、制作会社にいて、ステップアップの意味で応募してくる方とか。会社には、様々なバックグラウンドを持ち豊富な経験を積んできた優秀な人材や高いポテンシャルを秘めたプロパー人材も多数いるので、そういった人とコミュニケーションを取りながら仕事ができるのは、事業会社ならではですし、DeNAで働くメリットになるのかなと」
あと、会社によって社員のカラーに違いがあると思うんですが、DeNAはどう分析しいますか?
「年齢や社歴、役職に関わらずフラットなコミュニケーションを好む文化だと思います。周囲からは『DeNAの人はロジカルに物事を考えるよね』なんて言われることもありますね。特徴的なところとしては、デザイナーみたいな所謂ビジネス職ではないメンバーたちも関わるプロダクトやサービスのKPIをしっかりウォッチしていたり、会社の決算をちゃんと読んでいたり…デザイナーだから作業的な意味合いでのデザインだけをやるのではなく、KPIを自ら読み解き仮説を交えながら課題を抽出するなど「デザインするための下地」を整理するのが理想だと考えています」
すなわちそれは採用面接でも重視しているところだと。
「そうですね。一見デザインと関係ないようなことも質問して、本質的な考え方を見極めています。そのうえで、入社してからも積極的に自ら色々なことをキャッチアップする姿勢が非常に重要です」
中途採用だと、とくに目立った育成プログラムがあるわけではなく本人の自走能力が重要視されるんですね。
「その分、 “打席を作る”っていうのは会社全体で大事にしていて、それをサポートしてくれる上長やプロデューサーの存在など、やり切る環境もしっかりと整っています。僕も、どんな仕事も断らずに向き合ってきた結果、それを見ていた周囲が引き上げてくれたと思っていますし」
『ZEY』のように、フリーランスからのステップアップを考えている人からすれば、楠さんのキャリアパスは好例なのかなと。
「希望を持ってくれれば嬉しいですね。フリーランスって自由なようではあるけど、常に『個』で競争する世界にいるわけじゃないですか。それって結構しんどいなと思っちゃうんですよね。そもそも、“自分らしいデザイン”っていうのは存在しないことに20代で気づいていて。クライアントのために、組織のために、最適な成果物を生み出せる人になることが、長いキャリアを考える上では大事なのかなと思っています」
なるほど。一度「土台作り」に目を向けることも大事だと
「別に会社に入ったからといって、時間や行動に制約ができるわけではなくて、DeNAに関して言えば、与えられる裁量も大きいのでちゃんとやることをやって結果を出してさえいれば、働き方や時間に関してもかなり自由な環境だと思います。最近も会社の人とキャンプに行って会議したりとか、結果いまのほうがフリーランスみたいな動き方ができている気がしています(笑)」
今すぐにZEYを使ってみる。
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